現在のFacebookのUIがいかに話になってないレベルか

http://d.hatena.ne.jp/shi3z/20101015/1287124685
ブコメでのid:shi3z さんとの会話に触発されて、Facebookmixiのユーザーへの配慮の差を比較してみた。

技術寄りの人たちが根本的に誤解しているのが、「動きが速い」とか「豊富な機能」とかにとらわれて「迷わない」ことの重要さが吹っ飛んでいるということ。

とりあえず、一般人視点になりきってユーザーテスト。
あくまで「なりきり」だから、おそらくほんまもんの初心者が見たらこれの100倍は問題点が噴出するはず。

トップページ

文面

mixiの場合は上部の「mixiについて」できっちりSNSの概念を説明している。
Facebookのトップページは「できること」の具体的説明に乏しい。
トップページに登録フォームを置くことで使用開始までのステップを短くしたいのはわかるが、こういうものをユーザーへの信頼を築かない状態で提示しても無駄。

レイアウト

1回目のアクセスと2回目のアクセスの時点では、ユーザーは慣れていない。
画面上部にあるログインフォームに気づかない可能性が高い。
mixiが登録フォームを別ページにしているのは、ログインフォームとの混同を防ぐ意味もある。

用語が専門的

「アカウント登録」この時点でもう駄目。技術用語すぎる。
100歩譲って「ID」まで。ちなみにmixiの場合は「ログインメールアドレス」。

基調色

コミュニティサイトで寒色系の色使いって何。
技術者狙いのはてなじゃあるまいし。

ログイン後のページ


「ニュースフィード」は用語として駄目。
新聞などのニュースと混同する。
せいぜいフレンドストリーム。mixiの場合は「新着の更新情報」。

Twitter的な機能

mixiの場合は「今どこにいる?」はプロフィール画像の直下に吹き出しとして配置している。
これにより「自分が言っている」感が高くなる。細かい配慮。

メッセージ


作成ボタンの配置はよし。
宛先を、インクリメンタルを使って入力中にサジェストするのは、キーボード慣れしている人を前提としているやり方にすぎない。
フレンド数が数十人レベルの場合、相手をクリックで直接指定できるmixiのほうが、プロフィール画像つきで直感的。

友人の表示

Facebookでは「友達」、mixiでは「マイミクシィ」。
語感としては「友達」のほうがわかりやすいが、抽象化していない言葉なので誘う際の気軽さに欠ける弱点もある。

写真


mixiでいう「フォト」が「写真」になっているのは良い点。
だが、Facebookのトップページ左カラムメニューの中で「写真」は次点扱いで、デフォルトでは「他を見る」を押さないと出てこないのは難点。
「一度使うと次からは表示されるからいいだろう?」。大甘です。
私のやっているパソコン講習の受講者には、「右から○番目のボタン」という覚え方をする人がしょっちゅういる。
彼らにはアイコンのマークやその意味するものさえ、意識の外。

「日記を書く」「フォトを公開」を定位置に配置しているmixiはそういう重要性をわかっている。


Facebookの写真アップロードページのUIに関しては、ページ上部に目立つボタンで「写真をアップロード」があるので問題なし。
ただし写真のアップロード用ページに他の人のアップロードした写真を並べるのは、「公衆に写真を晒す」という抵抗感を伴なうことを忘れちゃいけない。

日記

Facebookでは「ノート」らしい。デフォルトでは非表示。「他を見る」を押さないと出てこない。
これはたぶんあえて優先順位を低くしてる。
twitter的な短文重視で行くのはいいけど、おそらくそれだけでは日記大好きっ子の日本人には受けないと思うよ。

コミュニティ


Facebookでは「ファンページ」。
用語としては悪くないが、素直に「コミュニティ」で良い気もする。
で、これもトップページからのリンクがない。
わざと敷居を一段上げておいて粗製乱造を防ぐというのは戦略としてわからなくもないが、コミュニティを作る気満々の人すら作成用リンクを見つけられないというのはどうなのよ。

アプリケーション


普通ここを押したらおすすめのアプリをいくつか提示するのが筋ってものだろう。
一番下の「アプリケーションディレクトリ」を押さないと一覧にすらたどり着けないって何考えてんだ。
使い方もFacebookの「アプリケーションへ移動」に比べてmixiは「今すぐはじめる」。なんとわかりやすいことか。
「アプリケーションへ移動」を押したとしても、飛び先が白紙だったりしてページの行き先に統一性がない。
結局20分以上さまよっても1個しかアプリを新規追加できなかった。
この使いづらさは凄まじい。

その他の問題点

IE6でログインするとブラウザのアップデートを薦められる

「いまさらIE6?」と鼻で笑うこと自体、自分が技術屋の専門馬鹿であることを吐露するも同然。
私が作成した高齢層中心のフラワーパークのアクセス解析(母数557,032PV/昨年度1年分)によると、全体の43.68%がIE6を使いつづけている。


マスを狙うってのはこの層をもれなくカバーするってこと。
彼らにこんなメッセージを表示したって、「ブラウザってなんだ?」って思われるのが関の山。


低スペックパソコンへの配慮も足らなすぎる。
高齢者は頻繁にパソコンを買い換えない。

良い点

Facebookの「知り合いかも?」機能は、初めて利用する人の心細さを解消するために良い機能だと思う。

とりあえずFacebook

じいさんばあさんにユーザーテストしてもらえ。
目からウロコが100枚ぐらい落ちるだろうさ。
今のユーザーインターフェイスで国内でマスに普及なんて絶対できない。断言する。


洋ゲーと国産ゲームの差に似てる話。

少し追記

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「友達」のリンクをクリックしても友達一覧が出ず、どこにあるのかと思ったら「プロフィール」ページにあった。
このあたりも意味不明。

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グローバルナビゲーションリンクが定位置にないというのが根本的におかしいのではないか、と思う。

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私が何故高齢者視点にこだわるかというと、彼らの視点にはフールプルーフのすべてが含まれるから(根っからの愚者って意味ではないよ。Webページの操作についてに限定した話)。
彼らを相手にユーザーテストを行ない、最悪の状況を想定して作っておけば他の世代をすべてカバーできる。

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mixiのレイアウトが「ごちゃごちゃしてわかりづらい」という意見がよくあるが、Facebookがggrksなプル型志向だとすれば、mixiYahoo!JAPAN的なプッシュ(とまでは言わないけど選択肢を可能な限り最初から提示する)型。
自ずと画面構成はごちゃごちゃする。

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現在のmixiの悪いところは、トップページのメインコンテンツ部を中途半端にブロック分けしているところ。
もうボイスもmixiチェックも日記もフォトも、全部一緒にまとめちゃってストリーム的に表示して構わないと思う。
この部分はFacebookに軍配が上がる。